退職金制度改革が必要なワケ

退職金制度改革の必要なワケは


 今なぜ、退職金制度の改革が必要なのか?

もちろん、「適格年金」の積立不足問題や「適格年金」廃止
(平成24年3月31日までに)問題といった退職金問題を
見直さざるを得ないという直接的な原因があることは紛れも
ない事実です。

 しかしこの2つだけに目を奪われてしまうと、退職金制度
の根本的な解決に至らない可能性があります。
今一度、自社の退職金制度がそもそも「何の目的で」「どの
ような形態で」「どのような位置づけで」設けられたのか、
なぜ、現状の問題を起こす状況になったのかということをし
っかり捉え、分析し、今後の事業継続の中で未来に向かって
しっかりと運営できる制度に改革するということを念頭にお
かなければなりません。

退職金の性格とは

 退職金には、大きく分けて3つの性格があるといわれています。

1. 功労報償

2. 定年退職後の生活保障

3. 賃金の後払い

 退職金の歴史は、江戸時代の「のれん分け」に始まったと言われ、
明治初期には殖産興業という国策の中、有能な熟練技術者の流出防止
のために、現在のような退職一時金の制度が設けられるようになった。
有能な従業員の永続勤務に対する恩恵的な功労金という性格が強かっ
たのです。そして、時代の移り変わりの中で、次第に従業員の退職後
の生活保障といった性格も兼ね備えるものへとなっていったのです。
つまりは、こうやって生まれた退職金制度は、従業員の会社に対する
帰属意識を高める上で大きな成果を生みました。
 戦後日本経済が復興して行く中で、労働運動の活発化もあって、
退職金に対する労働組合からの要求も次第にエスカレートしていき
ました。労働組合による激しい要求の中で、退職金は「任意恩恵的」
性格のものではなく、「賃金の後払い」であるという考え方が主張
されるようになっていきました。

 現在、退職金制度の変更・改革する場合、特にネックになるのが、
「賃金後払い説」をとる退職金の考え方です。
実は、この説は労働組合だけでなく、企業会計上も、又司法判断の
上でも重く認識されているのです。

 通常中小企業の経営者の方の認識としては、退職金は長年の勤務
に対する慰労金と思っておられる方がほとんではないでしょうか。
ところが、適格年金の退職年金規程の第一条(目的)「従業員の退
職後の生活の安定を図るため」と規程されているはずです。つまり、
経営者にとっては、慰労金という位置づけで認識しているものが、
実は、規程では従業員の老後の生活保障として退職金が規程されて
いるという摩訶不思議なことが起こっているのです。

このことをご存じないケースもかなりあるようです。

 退職金が「賃金の後払い」であれば、すなわち賃金体系の一部
ということになってしまいます。そうすると、従業員側からする
と退職金は、通常の賃金の一部を退職時以降に受け取るものとい
う認識になってしまうのです。ですから、退職金規定を変更しよ
うとするときは、従業員にとって有利に変わるのであれば問題な
いのですが、不利益を伴って変わるのであれば、先に述べた経営
者(慰労金説)と従業員(賃金後払い説)の考え方の違いが表出
してしまうのです。この辺りを十分に理解して対処しなければ、
退職金規定の変更が原因で、労使関係がおかしくなり、最悪の場
合、労使紛争になってしまう危険性があるのです。

 是非とも、適格年金を導入されている会社であれば、※「退職年
金規定」(適格退職年金締結の際、保険会社等が作成したもの)
の第一条を確認してみて下さい。

まず、間違いなく老後に生活保障という文言があるはずです。

※就業規則にある「退職(一時)金規程」とは違います。
すなわち、適格年金が導入されている会社では、「退職(一時)金規程」
と「退職年金規程」と2つが存在する場合があということです。