メンタルヘルスマネジメント

現在、社会情勢、労働環境などの急激な変化に伴い、労働者のストレス、心の問題

が深刻化しております。「心の病」を患う人は年を追う毎に多くなり、労災として認定

されるケースも飛躍的に急増しています。労災に認定されるという事は、企業として

安全配慮義務を怠った可能性もあり、民事での賠償責任を問われる事につながるの

です。

ご存知の方も多いかと思われますが、大手広告代理店で、過労に伴ってうつ病を発

症し自殺に至り、裁判所は企業側に高額の損害賠償責任を認めました。最終的な和

解金額は1億6800万円で成立し決着をみたものです。

 

メンタルヘルス対策は企業が危機管理として取り組んでいかなければならない最も

重要なテーマの1つです。「うちの会社では取り組んでいるよ!」と言われる多くの

会社では、単に「うつ病」に関するパンフレットを配る程度、一時のキャンペーン的な

取組で継続性が無く、会社トップの方針として取り組む企業は、ごく限られた一部の

大手企業だけにとどまります。

 

メンタルヘルス対策のような、非生産的な事にあまり金はかけられないと思っている

経営者の方も多いのではないでしょうか?本当に非生産的な事なのでしょうか?

例えば企業が取り組む「安全対策」について考えてみましょう。今全ての工場や現場

等の生産現場では「安全第一」が掲げられています。そして、ケガや事故が起きない

ように、会社側は「お金」をかけて安全措置を施しています。それはなぜか?事故を

起こすことにより会社は金額的にも、社会的にも大きなダメージを受けるからです。そ

して、安全対策や、職場環境の改善を行うことにより、さらに生産性が上がることを身

をもって知ったからです。かつて日本の高度経済成長期には労災事故が頻発しまし

た。本当に多くの労働者がケガをして、また命を落としていきました。私たちが生きる

「現代」はそういった事故やケガは安全対策のお陰で非常に少なくなってきました。

しかし昔の事故やケガは姿を変え、「過労死」「うつ病等の精神疾患」となって、再び

産業界に暗い影を落とし始めているのです。

 

また企業が行う人事制度もメンタルヘルス対策に密接な関わりを持っています。

心身共に「健康な状態」で働くことの出来る組織の運営には、仕事に対して「やる気」

を持つ事、「面白く」感じる事が非常に大切です。メンタルヘルス対策を講じることは

企業防衛のみならず、人事制度を通じて適切な責任と多様な能力発揮を行い、働く

人自身の成長が実感出来るような仕事に挑戦していける組織の体制作りまでを構築

する事が、企業の生産性を上げることにつながるのです。経営者は企業の成長と発

展の為に「守りのメンタルヘルス対策」から「攻めメンタルヘルス対策」に考えを転換さ

せて行かなければなりません。

 

■メンタルヘルス対策マネジメント(企業として取り組むべき事)

 

①メンタルヘルス対策に関する体制作り

 企業トップの方針、目標、具体的年度計画策定、各種実施要領書策定

 各種体制作り

 

②メンタルヘルスを推進する教育研修及び職場環境の改善

  ストレスチェック

  一般社員向け(セルフケア) 管理者向け(ラインケア) 役員向け

  職場環境の把握と改善(作業環境、職務の見直しによる労働者のストレス軽減)

 

③メンタルヘルス不調への気づきと対応

  職場衛生担当者への相談体制、産業医、事業外の医療機関につなげられるネッ

  トワークの整備。外部EAP(従業員支援プログラム)機関の利用

 

④職場復帰における支援

  職場復帰支援プログラムによる、メンタル不全労働者の復職支援

 

⑤目標・年度計画による実施事項の評価、見直し

 

         【    1年目   】  【    2年目   】  【    3年目   】

         ①→②→③→④→⑤→①→②→③→④→⑤→①→②→③→④→⑤

              メンタルヘルス対策サイクルを継続して行う

 

■メンタルヘルス対策の具体的活動

 

①未然防止及び健康増進(1次予防)

  ストレス要因の除去または低減

  労働者自身で行うストレス対処

 

②早期発見と対処(2次予防)

  労働者個人、管理監督者への教育

        ↓↓↓

  初期症状を中心としたメンタルヘルス不全に関する知識と理解を得ることにより、

  労働者個人、管理監督者あるいは周囲の同僚の「気づき」を促すために重要な

  事であり、そしてその「いつもと違う状態」に気づき、産業保健スタッフ、医療機関

  に相談することにつなげられる体制が求められるのです。

 

③治療と職場復帰、再発防止(3次予防)

  既にメンタルヘルス不全になり休業している人の職場復帰過程を円滑にして再燃

  再発がおきないように支援を行います。最終的には労働者が発症する前と同程度

  か、それに近い業務遂行能力にまで回復することを目指します。

 

 

■上記具体的活動を行う上で労働者個人、管理監督者が行うべき事

 

①労働者

     

      ・ストレスへの気づき(ストレスチェックを利用する)

      ・ストレスへの対処(運動、休憩、十分な睡眠、自立訓練法)

      ・自発的な相談(家族、同僚、上司、産業医、外部機関(EAP)

 

②管理監督者

     

      ・職場環境等の改善

       暑熱、騒音、職場レイアウトなどの作業環境や作業方法、労働時間、仕

       事の量と質、職場の人間関係を把握し、改善する。

      

      ・部下の行動の把握

       部下の心身の不調に気づくには、職場における平均的なズレと本人の

       通常の行動様式からのズレに注目し、「いつもと違う行動」には注意が

       必要です。もし変化があった場合は、本人と話をした上で、疑いを感じれ

       ば産業保健スタッフに相談するように進めたり、自らスタッフに相談する

       事が大切です。

 

      ・部下に対する相談対応

       日常的に、部下からの自主的な相談に対応するよう努める必要がありま

       す。

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