最適賃金設計の留意点

Ⅰ.最適賃金設計には対象高齢従業員の同意が必要です。

従業員にとって最も重要な労働条件である「賃金」に変更をするに当た
って、従業員本人の同意は絶対に必要な条件となります。
その際、対象高齢従業員へしっかりと各制度の説明をすることはもちろん
のこと、各従業員のプライドにも配慮する必要があります(長い期間会社
を支えてきた自負のあるベテラン従業員の方には、手取額に変化が無い
ことを頭では理解できても、賃金額が下がるということに抵抗があると
いう方もいます)。

Ⅱ.対象高齢労働者が今後被りうる不利益の理解が必要となります。

手取額合計が増えるような賃金設定であっても、「在職老齢年金」と
「高年齢雇用継続給付」については、対象月から実際の支給(指定金融
機関への振込)まで最大2ヶ月強の時間差が発生します。さらに、
賃金の低下(平均標準報酬月額の低下)による将来的な年金額の低下、
万が一従業員が大きなケガをした場合に支給される労災保険・健康保険
からの給付の低下といった潜在的な不利益についてまで考慮する必要が
あります。

Ⅲ. 労働基準法等の問題を解決する必要があります。

高年齢雇用継続給付の給付は、残業代込みの賃金額を基準に支給される
ため、毎月の賃金額に変動がある場合、賃金設計シミュレーション通り
にならない場合があります。

※それを考慮して、残業分をボーナスに上乗せして支給するよう安易に
指導している機関もあるようですが、これは労働基準法の「賃金の毎月
払いの原則」に完全に違犯しているおそれがありますのので、後で
労働基準監督署から残業代の支払命令があった際には、高年齢雇用継続
給付にも影響が出て、かなりやっかいなことになることが予想されます。

Ⅳ. 法律の改正による制度変更の可能性を予測する必要があります。

 毎年、社会保険各法が改正される際、各給付について変更が行なわれ
る可能性があるため、制度を導入した後も油断は禁物です。最近でも、
凍結されていた年金額の物価スライドが解除され、高年齢雇用継続給付
の支給率が平成15年5月より変更されています(施行日に既に受給資格
を得ている従業員については65歳まで従前の率が適用される経過措置
アリ)。さらに、平成16年4月からは、在職老齢年金の仕組が変更
されています。

※最適賃金設計を行うには、「最適賃金額の算出」よりも「導入」が非常
に難しいというのが最大の特徴であることを理解する必要があります。
上記の1~4で挙げただけでも分かりますように、この制度には「落と
し穴」が多数存在するため、労働基準法・労災保険・雇用保険・健康保険
・厚生年金保険の各法に精通していることがスムーズな導入のポイントに
なります。

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